Site:
Program:
Site Area:
Building Area:
Floor Area:
Completed:
Architects:
Asst.Architects:
Structural Eng.:
Furniture:
Photo:
Kanagawa
a house
391.0㎡
81.0㎡
149.o㎡
Sep. 2009
Chika Kijima
Yuki Kato
LOW FAT structure
株式会社新潟タキザワ
上田宏建築設計事務所
Description
相模湾と富士山の見える場所に親子4人で暮らしたいと借家住まいをしながら土地探しに時間をかけた建て主が見つけたのは、眺望は絶景ながら、尾根側はスクーターしか通行できず、谷側も幅員2mギリギリ2t車が進入できるかという、さらに尾根側と谷側の高低差は30mにも及ぶ北向きの斜面でした。
計画にあたり、海と富士山の存在感が圧倒的なだけに、眺望の望めない場所=裏方・デッドスペースという位置づけにならぬよう、眺望のみならず階によって異なる地面の背負い方、陽の当たり方、温湿度など、おのずと生じる違いがそれぞれの場所のチャームポイントとなり生活を展開する場としての総合点としてはいずれも等価な質を確保しつつ、地面との距離感など場ごとの差異を行き来することを積極的に楽しめる住宅を目指しました。
斜面や接道条件から派生する搬入・工法上の制約から、まとまった大きな平場はあきらめ、スキップや吹き抜けを介して6つのレベルを、斜面に寄り添わせながら、はね出し、少し揺らぎながらも連ねて重ね上げました。各室をつなぐ廊下・階段は斜面に時に平行に、時に直交し、地中側に寄り添ったり、はねだしの先端をたどったりしながら、日常生活を営むための安心感と、敷地のもたらす非日常的なスリルの狭間で、上下のレベルを縫いつないでいます。
構造的に必要な接地面積を確保しつつ、地下1階の山側およそ半分をピロティとすることで、斜面建築では得にくい地続きの外部空間と、地下階の居室への風や光の取り入れルートを獲得しました。
北面の自然採光以外は地中となる最下階の主寝室は年間通じて安定した環境となり、一方、子供室は朝日が木洩れ陽として差し込むトップライトが季節や時間の変化を知らしめ、LDKは近景の緑から遠景の山と海まで建物を取り囲む360度の環境を存分に楽しむことが出来ます。
敷地の特殊性から仮設や資材搬入、基礎工事などでの費用負荷が大きくならざるを得ない分、木質材料の塗装などは建て主と設計事務所で行いコスト調整協力を行いました。
©2021 Chika Kijima